不可説日記

日常の何気ない出来事を極度に歪曲してつづります

雑記不可説ボツネタ集 スペシャル編#2 お茶大好き茶之助

昔ある村に茶之助という男がいました。茶之助は茶が大好きで大雪が降っても、隣で火事がおこっても、何があってもかまわずに部屋にこもって急須で茶を呑んでいるのでした。あるとき村に疫病がはやりました。村の人たちは皆、万事休すのみ、といいました。外に出ていた人はみんな病にかかって苦しみました。でも茶之助は部屋にこもって急須で茶を呑んでいたので病がうつらないで助かりました。やがて疫病はおさまってこんどは村に盗賊団がやってきて村を荒らしまわりました。村の人たちは皆、今度こそ万事休すのみ、といいました。みんなあわてて戸や窓の鍵を固くしめました。しかし盗賊は矛で壁を破って家にはいって財貨をみんな盗みました。でも茶之助は部屋にこもって急須で茶を呑んでいて、戸や窓の鍵には構っていなくて、盗賊はこの家には誰もいないのだと思って茶之助は助かりました。やがて盗賊はお役人につかまってこんどは南極に隕石がおちてその衝撃で世界中で海水面があがって、村は沈みました。村の人たちは皆、今度こそ万事休すのみ、といいました。みんなあわてて高台ににげたので生きて助かってそこに新しい村を作りました。でも茶之助は海があがってくる時まで部屋にこもって急須で茶を呑んでいて、逃げなかったので家ごと海におぼれて死んで助かりました。茶之助は結局さいごまで何があっても急須で茶を呑んでいるのでした。やがて海水面はさがって村があったところは野原になりました。そこに、万事急須呑茶之助、とかいたお墓が立ちました。村の人たちは皆、お墓にかかれた名前をよみました。みんなあわててお墓に茶葉をおそなえにくるのでした。