不可説日記

日常の何気ない出来事を極度に歪曲してつづります

ダイヤモンドだね~


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↑私の家の勝手口から見た景色。嘘である。

目が覚めるとそこは雪国であった。どうも巨大寒波が襲来して豪雪になったらしい。しかし、それは外に出ているから寒くて辛いのであって、家の中にいて、暖房の熱波に襲来された状態で窓からながめている分にはただただキレイなだけである。

積もった雪は、ダイヤモンドのように光っていた。ここで問題が生ずる。

人は何かがキラキラ光っているとすぐ、ダイヤモンドのように光っている…と表現するが、ダイヤモンドの立場に立って考えてみてほしい。これはダイヤモンドをたかし君に置き換えてみるとわかりやすい。たかし君は、どこかで何かが光るたびに「たかし君みたいだねえ」と噂をされているのである。これではクシャミが止まらないばかりか、肖像権の侵害という問題も発生する。

このような考察から、ダイヤモンドが宝石店で高値で売られている理由がわかる。

つまるところ、我々はダイヤモンドの契約料を払っているのである。ダイヤモンドは比喩に多用されるから、莫大な金額の契約料を払う必要があるのだが、一人一人がいちいち払っていたのでは煩雑だ。そこで、少数の代表者、すなわち鉱物愛護主義者の富豪たちが、「宝石店でのダイヤモンド購入」というかたちで、まとめて支払っているのだ。インドとかに行くと怪しい宝石商のおっさんが宝石を熱心に売りつけてくるけれども、あれはちかごろ鉱物愛護団体の活動が活発で、宝石屋の売り上げからダイヤモンドの契約料と称して勝手に金を巻き上げているからである。

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↑エメラルド号。

もちろん、契約料は他の宝石についても発生する。トマトの品種で「こしのルビー」とか、小浜線で昔走っていた急行で「エメラルド」号というのがあるけれども、我々がそういうものを利用するたびに、今日もどこかで富豪がルビーやエメラルドを買いまくっているのである。

賢明な読者の方ならすでにお気づきかと思うが、宝石に限らず、我々がこの世の中の高いモノを買うときにはいつでも、そのモノ自体の値段だけでなく、そのモノの肖像権に伴う契約料も同時に支払っている。

ということは逆説的に、土地とかグリーン車の切符とか一杯百万円のカニとかも、私たちの知らないところで誰かが比喩に使っている、ということになる。資本主義経済を維持するために、今日もWMO(World Metaphor Organization,世界比喩機関)のエージェントたちが、「今日の天気は3丁目の3番地のように良いものであった…そう思わぬか」「まことにそう思います。東京の物価みたいな天気でしたね」「隊長っ!駅前でホテルのルームサービスみたいなオッサンを見かけたであります!」などといった、決死の比喩を遂行しているのである。