不可説日記

日常の何気ない出来事を極度に歪曲してつづります

中学生のころに書いた日記 其の一「音ゲー」

序文

 唐突に、日記をつけてみることにする。

 私は飽きっぽいから、三日坊主にならなければいいと思っている。

 何故日記をつけ始めたかといえば、私の学校にはたいてい変な奴しかいないからである。日記をつけておけば、話のネタになるから、そういうのもあるが、やはり一番は、文章を書くこと自体が楽しいということである。

 私は、今まで、他人がいうような青春を味わったことがあまりないと思う。現時点で科学部に所属しており、女に興味がない私にとって、少なくとも甘酸っぱい思い出というものはなくて、あるのは、しょっぱい思い出とか、うま味の強い思い出とか、ニョクマムみたいな味がする思い出とかしかない。

 だが、それがいい

五月四日「音ゲー

 

 いきなり中途半端な日付から始まっているが、これ以前は記憶が薄いので仕方がない。思い出したら書くかもしれないが、それでも中学校より前のことは多分一ページ分も書けないと思う。

 ゴールデンウィークの真っただ中でウキウキしている。この日、隣の市のショッピングセンターへ行った。休日は、私はみんなとは違う市にある実家にいて、友達がいないのでいつも一人寂しくそこらへんを目的もなく徘徊している。といっても私の街は、遊ぶところがある都会でもなく、かといって自然が美しい田舎でもないという一番困るパターンの街で、徘徊も二十分程度で終ってしまう。徘徊が終ったら、後は基本的に自室にいて本を読んだりパソコンをいじったりしている。それでも学校や塾がある平日よりはましであるが、それにしてもこの街は本当に微妙である。都会はもともと観光スポットがあり、田舎は田舎で自然を生かした観光施設を作ったり、それがなくても近くの田に行き虫取りをしたり魚を見たりする楽しみがある。微妙な街は微妙な街ならではのどうにも困る微妙さがあるが、その微妙さはやっぱり何にも活かすことができない。

 しかしよく考えてみれば、自分の住んでいる町が微妙なのではなく、この町に慣れているから微妙なのかもしれない。田舎の中学生も、もう珍しい魚や虫に飽き飽きしているということだろうか。田舎の施設は、田舎に飽きていない人が多いから人気になるのだろうか。

 田舎の中学生に私の街に来てもらったら、どう思うのだろう。そこそこの都会に見えるのだろうか、興味深いことだ。夏休みの自由研究は、このテーマについて研究してみようか。

 

それはそうと、五月四日に行ったショッピングセンターでは、私と友達のD氏と先輩四人という面子で、音ゲーで遊んだ。私は太鼓をたたいたり、コースターに乗ったり、もぐらたたきをしたりした。友達はピアノを弾き、先輩方は洗濯機の周りを叩いていた。皿を回している人もいれば、ツマミをひねっている人もいた。しかし、これらの音ゲーの中でもっとも私が気に入ったのは、CHUNITHMというものである。

 何故はまったのかといえば、よくわからないが、今思えばヒット音が気持ちいいから出ないかと思う。手を振り上げたときの空気を切り裂く音、黄色いタップを叩いたときの何とも言えない音、赤いタップを叩いた時の音さえも、音楽のテンポと合わさって、とても心地よい。ゲームシステムが面白いのもあるし、ペンギンがカワイイのもあるが、音ゲーというのは音を楽しむものだから、やはり音に惹かれる。私は、今までやっていた太鼓の達人は一回だけにとどめ、代りにペンギンを四、五回程調教し、満足して帰った。

 

 音ゲーといえば、少し前、おといろはという音ゲーが発表になった。MAIMAIが洗濯機のような形をしているのに対し、こちらは洋式便器のような形をしている。便座のまわりにある何かを投げるというのが特徴だが、動画を見てみると、かなりやりにくそうである。ネタ切れ感が出まくっている。あんなものはボルテで十分ではないか。

 しかし、ゲーセンにでっかいトイレが唐突においてあるというのは、ぜひ見てみたいものだ。お前の居場所はそこじゃないだろ、音ゲーコーナーなんかに置いてあったらプライバシーもへったくれもないじゃないか、と突っ込みたくなるシュールさがあっていいと思うのだが、なんとコナミの昨年度決算書に、おといろはの名前がなかったというのである。つまりこれは、おといろは稼働中止を意味する。まことに残念だ。

 というわけで、おといレことおといろはは見事に撃沈してしまったわけであるが、トイレの形をした物というのは、音ゲー界はおろかゲーム界でもなかなかなかろう。トイレをテーマにしたゲームなら、トイレキッズというものがあるが、それはさておき、トイレをテーマにした音ゲーを、もう一回作ってはどうかと思う。

 そもそもおといろはの問題点は、和風の音ゲーを名乗っておきながら、形を和式便器にしなかったことである。もし和式便器だったら、座りながらプレイする音ゲーという点でも、注目を集めていただろう。

 ゲーセンにでっかい和式便器が唐突においてあるというのは、ぜひ見てみたいものだ。お前の居場所はそこじゃないだろ、音ゲーコーナーなんかに置いてあったらプライバシーもへったくれもないじゃないか、と突っ込みたくなるシュールさがあっていいと思うのだが、なんとコナミの昨年度決算書に、和式おといろはの名前がなかったというのである。つまりこれは、和式おといろは稼働中止というか、そもそもそんな音ゲーはそもそもないということを意味する。こんなものを考えた人は、まことにアホだと思う。